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汚泥処理の方法と種類について|環境に優しい選択肢とは
汚泥処理関連装置/水処理用薬品

汚泥処理の方法と種類について|環境に優しい選択肢とは

2024.07.22

  • 汚泥処理方法
  • 汚泥脱水機
  • 汚泥脱水発酵システム

汚泥処理は、環境保護と法規制の順守の観点から非常に重要です。この記事では、汚泥とは何か、その特性や発生源について詳しく説明し、さらに汚泥処理の代表的な方法と技術をご紹介します。

汚泥とは

汚泥とは、排水処理過程で発生する固形物や半固形物のことを指します。主に以下の種類があります。

  • 下水処理汚泥
  • 産業排水処理汚泥
  • 豚舎糞尿汚泥
  • 食品加工排水処理汚泥
  • 浄化槽汚泥

下水処理汚泥

下水処理汚泥とは、都市部や地域の下水処理施設で生成される汚泥です。これらは主に、生活排水や雨水、産業排水からのもので、高い有機物含量と栄養価を持っています。また、汚泥に含まれる成分は再生可能資源として利用されることも多いです。

産業排水処理汚泥

産業排水処理汚泥は、工場や産業施設から排出される排水に含まれる固形物です。これには多くの重金属や化学物質が含まれることがあり、環境への影響が懸念されます。このため、法的規制に基づいた適切な処理が求められます。

豚舎糞尿汚泥

豚舎糞尿汚泥は、畜産業で発生するもので、豚の糞尿を処理し生成される汚泥です。主に、有機物が多く含まれ、肥料として再利用されることが多いですが、悪臭や病原菌が含まれているため、適切な処理が必要です。

食品加工排水処理汚泥

食品加工汚泥は、食品加工施設から生成されるもので、生物分解性が高い有機物を多く含んでいます。これらの汚泥は有機肥料として利用されることが一般的ですが、高い衛生管理が求められます。

浄化槽汚泥

浄化槽汚泥は、各家庭や小規模施設で使用される浄化槽から発生する汚泥です。この汚泥には細菌や有機物が多く含まれており、適切に処理しないと環境汚染の原因となります。

発生源と特性

発生源特性
下水処理場有機物含量が高く、栄養価がある
工業排水処理場重金属や化学物質を含む場合が多い
農業用水処理場土壌や肥料として再利用可能な成分を含む
家庭用浄化槽細菌や有機物が多く含まれる
食品加工施設生物分解性が高い有機物を多く含む

汚泥処理の重要性

汚泥は環境に多大な影響を及ぼします。汚泥処理されない場合、水質汚染、土壌汚染、悪臭問題を引き起こす可能性があります。また、微生物や化学物質が含まれているため、自然環境や人間の健康への悪影響も懸念されています。

具体的な影響例

  • 有機物の分解に伴う酸素消費が多いため、河川や湖沼の生態系が損なわれることがある。
  • 重金属が地下水に浸透し、飲用水の安全性に問題を引き起こす。

法的規制と基準

汚泥処理は法的に厳しく規制されており、基準を満たす適切な処理が求められています。以下に、日本国内で適用される主な法的規制と基準を示します。

法令       概要
廃棄物処理法廃棄物の処理及び清掃に関する法律であり、汚泥を含む産業廃棄物の処理方法や基準について定めています。
適切な処理方法に従わない場合、罰則が科せられる可能性があります。
水質汚濁防止法水質汚濁防止法は、汚泥処理施設からの排水に関する基準を規定しており、排水基準に従わなければなりません。
有害物質規制特定の有害物質を含む汚泥については、有害物質規制に基づいて処理されなければならないため、特別な処理方法が求められます。

これらの法的規制と基準に従うことで、環境への悪影響を最小限に抑え、安全かつ効果的に汚泥を処理することが求められます。

汚泥処理の方法

汚泥処理の方法については、汚泥の性質や含有物によって処理方法が異なります。基本的には脱水や焼却などによって減量化され、最終処分が行われますが、種類によっては堆肥などにリサイクルされるものもあります。
そのなかで代表的な汚泥処理方法をご紹介します。

焼却

汚泥を高温で燃焼させる処理方法です。主に有機物を燃焼によって減量化し、臭気や微生物を除去します。焼却によって生成される熱エネルギーは、発電や暖房などに利用されることもあります。ただし、高温焼却には高いコストがかかる上、二酸化炭素を排出するため、環境負荷も懸念されます。

焼却の種類

  • 流動床焼却
  • 回転炉焼却

埋め立て

安定化した汚泥を適切な場所に埋め立てる方法です。埋め立てにあたっては、塩類や重金属を含むため、事前処理や適切な管理が必要です。埋め立て用のスペースが限られているため、長期的には不利な選択とされることがあります。

濃縮/脱水

汚泥脱水機ヴァルートデュオ

汚泥は多量の水分を含むため、そのまま焼却や埋立て処分を行うと多額の費用がかかります。そのため、汚泥濃縮機や汚泥脱水機で汚泥を出来るだけ濃縮・脱水し、汚泥の嵩を減らすことで処分費や環境負荷を削減する処理方法です。汚泥脱水機は汚泥を固液分離することで嵩を減らすだけではなく、脱水後の汚泥形状がケーキ状になるため、その後の運搬取扱いや処分を容易にすることができます。一方、汚泥濃縮機で嵩を減らした後の汚泥形状は液状で、液状の方が処理後の取り扱いが容易になる場合には有効です。汚泥の濃縮や脱水によって分離された水は廃水処理工程に戻され、処理された後に河川などに放流されるので自然のサイクルに戻すことが出来ます。

汚泥濃縮機・汚泥脱水機による汚泥処理について詳しくはこちら→
アムコンの汚泥濃縮機・汚泥脱水機はこちら→

セメント原料化

汚泥を乾燥・焼成し、セメント製造の原料として再利用する方法です。汚泥中の有害物質を無毒化し、資源として有効利用することが可能です。しかし、この処理方法を適用するには、汚泥が一定の基準を満たす必要があります。

堆肥化

有機物を含む汚泥を微生物の働きで分解し、堆肥化する方法です。農業に利用可能な肥料として再利用されます。堆肥化には時間がかかり、大量の汚泥を処理するため、広いスペースが必要です。

堆肥化のプロセス

  • 前処理
  • 発酵
  • 熟成

メタン発酵

汚泥中の有機物を嫌気性微生物によって分解し、メタンガスを生成する方法です。生成されたメタンガスはエネルギー源として利用できます。メタン発酵はエネルギー回収が可能で、汚泥の量も減少しますが、プロセスには専門的な設備と管理が必要です。

メタン発酵のメリット

  • エネルギーの回収
  • 有機物の減量

造粒固化

汚泥を固形化して取り扱いやすくする方法です。取り扱いや輸送が容易になり、再利用や処分が簡便になります。造粒固化された汚泥は、道路建設やその他の建材として利用されることもあります。

溶融

高温で汚泥を溶融させ、無機物をスラグ化する方法です。スラグは建材として利用されることがあります。この方法では高エネルギー消費が伴い、設備の初期費用も高くつくことが多いです。

溶融による生成物

  • スラグ
  • 金属の回収

油水分離

汚泥中の油分と水分を分離する方法です。油分はリサイクルされ、燃料として再利用されることがあります。一方、水分はさらに処理されて排出されるか、他の用途に利用されます。油水分離には高度な技術が必要ですが、資源の有効利用が可能です。

処理方法メリットデメリット
焼却減量化、臭気除去コストが高い、二酸化炭素排出
埋め立て簡便管理が必要、環境負荷
濃縮・脱水減量化、扱いやすい
セメント原料化資源の有効利用基準を満たす必要
堆肥化農業利用可能時間がかかる、空間が必要
メタン発酵エネルギー回収管理が必要、設備費用
造粒固化扱いやすい設備コスト
溶融建材として利用可能高エネルギー消費
油水分離資源の再利用技術が必要

新しい汚泥処理技術

新しい汚泥処理技術をご紹介します。

膜分離技術

技術名  特長メリットデメリット
超ろ過微細な膜を利用して固形分を分離効率的な固形分除去、再利用可能な水質高コスト、膜の詰まりが発生しやすい
ナノろ過より微細な膜を利用して溶解性物質も分離高い除去率、有害物質も除去可能非常に高いコスト、特殊な管理が必要

膜分離技術は、中小規模の処理プラントだけでなく、大規模なインフラ施設でも利用されています。例えば、都市下水処理施設や工業廃水処理プラントでの導入事例があります。これらの技術は、効率的かつ高品質な水処理が求められる現場で特に重宝されています。

高温高圧処理

水熱処理は、強力な分解能力を持つため、食品廃棄物や農業廃棄物など、さまざまな有機汚泥にも適用可能です。実際の使用例としては、マヨネーズ製造工場での食品汚泥処理が挙げられ、処理後にはバイオガスを回収しエネルギーとして利用しています。

炭化処理

炭化処理では、炭化炉を使って汚泥を高温処理し、炭素リッチな物質に変換します。これらの炭化物は、土壌改良材や建設材料として再利用されるケースが多いです。例えば、東京都内の下水処理場では炭化物を使用した道路建設が行われています。

肥料化

肥料化は、下水汚泥を農業用肥料として再利用する方法です。農家による使用例が多く、持続可能な農業を支援します。例えば、北海道の農業地域では、この技術が普及しており、年間数千トンの下水汚泥が肥料として再利用されています。

汚泥脱水発酵システムデルコンポ

アムコンの汚泥脱水発酵システム「デルコンポ」は1000~3000人槽対象の集落排水施設向けシステムで、汚泥脱水機・乾燥機・発酵槽など必要な設備をすべてユニット化しており、処理場面積が限られている集落排水施設にも最適です。産業廃棄物として費用をかけて捨てられていた汚泥を汚泥肥料※として活用することで、汚泥処分費ゼロ「汚泥の地産地消」を実現します。 ※発酵汚泥を肥料として使用するには、各自治体への肥料登録が必要です。

汚泥脱水発酵システム デルコンポについて詳しくはこちら→

エネルギー回収

エネルギー回収は、バイオガスやバイオディーゼルの生成に利用されることが多いです。特に、横浜市の下水処理場ではバイオガスを生成し、発電所で利用するシステムが導入されています。このシステムにより、年度ごとに数百万kWhの電力が生成され、二酸化炭素排出量の大幅な削減に貢献しています。

まとめ

今回の記事では汚泥処理の方法と種類についてご紹介しました。

汚泥処理の方法は多岐にわたり、それぞれにメリットとデメリットがあります。濃縮・脱水、焼却や埋め立てなどの代表的な方法から、メタン発酵や膜分離技術といった新しい技術まで、さまざまあります。環境負荷を低減するためには、適切な方法を選択することが重要です。今回の記事を参考に汚泥処理について理解いただければと思います。 また、汚泥処理についてご相談等ありましたら、当社へお問い合わせください。

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