お役立ち情報
水処理用薬品・凝集剤の種類について徹底解説
汚泥処理関連装置/水処理用薬品

水処理用薬品・凝集剤の種類について徹底解説

2024.10.25

  • 水処理用薬品

今回は水処理用薬品のうち凝集剤について解説します。凝集剤は、汚泥処理過程において非常に重要な役割を果たしており、その選定によって処理効果が大きく左右されます。種類や特徴を知り、最適な凝集剤を選択することで、より効果的な汚泥処理の実現が可能となります。

水処理用薬品とは

水処理用薬品は、水の品質を改善・維持するために使用される化学物質の集合を指します。
これらの薬品は、汚水や産業廃水の浄化、飲料水の安全性向上、ボイラーや冷却水系の水質管理など、さまざまな用途で活用されます。
水処理用薬品は私たちの生活と環境の保護において重要な役割を果たしています。

水処理用薬品の重要性

水処理用薬品の主な重要性は、以下の点になります。

  • 水質の改善: 不純物の除去や水の透明性向上に貢献します。
  • 健康の保護: 病原菌の殺菌・除去により、公衆衛生の向上に役立ちます。
  • 資源の保護: 水資源の持続可能な利用を支えるために、適切な水質の管理が必要です。

水処理プロセスにおける役割

プロセス使用される薬品目的
凝集・沈殿凝集剤微細な粒子を集めて沈殿させる
殺菌殺菌剤細菌やウイルスの除去
pH調整pH調整剤水の酸性またはアルカリ性を調整
スケール防止スケール防止剤固体の析出を防ぐ

このように、多様な役割を持つ水処理薬品は、それぞれが特定の目的を持ち、適切に選択され使用されることが求められます。

凝集剤の種類と役割

凝集剤は、液体中の微細な固体粒子やコロイド上の物質を集めて大きな塊(フロック)にし、沈降や分離を促進させるための薬品です。汚泥処理、排水処理や浄水処理において重要な役割を果たし、適切な凝集剤を使用することで、脱水効率を向上させ、処理コストを削減できる可能性があります。

ここでは、凝集剤の主要な種類とその役割について詳しく説明します。

無機系凝集剤

無機系凝集剤は主に金属塩をベースとした凝集剤で、代表的なものとしてポリ塩化アルミニウムやポリ硫酸第二鉄、硫酸アルミニウムが挙げられます。

ポリ塩化アルミニウム(PAC)
ポリ塩化アルミニウム(PAC)

ポリ塩化アルミニウム(PAC)

ポリ塩化アルミニウムは、下記記載の硫酸アルミニウムよりも高い凝集能力を持つ無機系凝集剤です。水中のpH変動にも強く、幅広い用途で使用されています。

ポリ硫酸第二鉄(ポリ鉄)

鉄を基にした無機系凝集剤で、凝集剤としての利用だけではなく、リン除去、BOD、CODの除去、重金属類の除去、硫化水素の発生抑制などの効果もあります。

ポリ硫酸第二鉄(ポリ鉄)
ポリ硫酸第二鉄(ポリ鉄)

硫酸アルミニウム

硫酸アルミニウムは、多くの水処理施設で広く使用されている代表的な凝集剤です。その特徴として、粒子を効率的に凝集させる能力があり、コストも比較的低いことが挙げられます。

有機系凝集剤(高分子凝集剤)

有機系凝集剤は、ポリマー化合物を基にした凝集剤で、高分子凝集剤とも呼ばれます。
少量で高い凝集効果を発揮するため、少ない添加量でも大きなフロックを形成できるため、薬品使用量の削減が可能な場合があります。

高分子凝集剤(エマルジョン)
高分子凝集剤(エマルジョン)

有機系高分子凝集剤の種類

  • アニオン性(陰イオン性)凝集剤:無機物や陽イオン性の汚泥に対して使用されます
  • カチオン性(陽イオン性)凝集剤:陰イオン性の汚泥やコロイド状物質に対して強い凝集性を発揮します
  • 非イオン性(無電荷性)凝集剤:電荷の影響を受けにくく、幅広い汚泥に対応できます
  • 両性イオン性(両性電解質)凝集剤:アニオン性とカチオン性両方の性質を持ち、複雑な汚泥やpH変動が大きい環境での処理に適しています

凝集剤を選択する際には、処理する水の特性や用途に応じて適切なタイプを選ぶことが重要です。

汚泥処理に最適な凝集剤の選定方法

凝集剤の選定は排水処理プロセス全体の効率やコストに大きく影響するため、最適な凝集剤を選ぶことが推奨されます。

下記に凝集剤の選定方法をご紹介します。

汚泥の特性を知る

汚泥の特性を把握し、以下の点を分析することが重要です。

汚泥の種類

  • 有機汚泥:下水処理場や食品加工工場などで発生する、有機物から構成される汚泥
  • 無機汚泥:無機物から構成される汚泥で、化学工場、メッキや表面処理の工場、発電所、浄水場などで発生します 
  • 混合汚泥:有機物と無機物が混ざっている汚泥

汚泥のpH値

pHによって最適な凝集剤が異なるため、汚泥のpHを知ることで適切な凝集剤を選定しやすくなります。

汚泥の固形物濃度

汚泥中の固形物濃度(MLSS/活性汚泥懸濁(浮遊)物質)が高い場合、より強力な凝集性が求められます。

汚泥の粒子サイズと電荷

汚泥中の粒子がどのような電荷(陽イオン/陰イオン/または無電荷)を持っているかを知ることも、適切な凝集剤の選定で重要です。負に帯電した粒子が多い汚泥では、一般的にカチオン性凝集剤が選ばれます。

汚泥のサンプルテストを行う

実際に脱水する汚泥にいくつかの異なる凝集剤や濃度を添加し、フロック形成状態や凝集剤の添加量、脱水ケーキの推定含水率などを試験します。

凝集性とフロック強度の判定

サンプル汚泥に凝集剤を添加してフロックを形成し、凝集性やフロック強度を判定します。
汚泥脱水機ヴァルート™に適したフロックの大きさはパチンコ玉程度で、攪拌や圧力に対する耐性の高いフロックかどうかも確認します。

ろ過性の判定

アムコンでは、ラボ脱水機を用いてフロックを加圧し、ろ過性を確認します。また、加圧で得られた脱水ケーキを用いて含水率を測定し、各判定項目の総合結果から、汚泥脱水機ヴァルート™に適合する凝集剤を選定します。
加圧浮上法や凝集沈殿法などの排水処理用、他社様の汚泥脱水機用のサンプルテストに関してもご相談ください。
「凝集状態が悪くなってきたので、含水率を改善したい」、「より良い凝集剤がないか探している」など、凝集剤をご検討される際は、ぜひ当社までお問い合わせください。

まとめ

今回の記事では、水処理用薬品のうち凝集剤に焦点を当ててご紹介しました。
凝集剤は、液体中の微細な固体粒子やコロイド上の物質を集めて大きな塊(フロック)にし、沈降や分離を促進させるための薬品で、有機系と無機系があります。 凝集剤の選定にはサンプルテストが有効です。凝集剤をお探しの方、汚泥脱水機ヴァルート™でどの程度脱水できるのかテストしてみたい方など、ぜひご連絡ください。

無料汚泥サンプルテストについて、詳細はこちら

無料汚泥サンプルテストはこちら

関連製品/サービス/検査メニュー