簡易専用水道検査は、飲料水の安全性を確保するために欠かせない重要な検査です。今回の記事では簡易専用水道検査とはどの様な検査なのか?、どのくらいの頻度で行うべきなのか?、などを紹介しています。また簡易専用水道検査のよくある質問についても最後に紹介しています。
簡易専用水道検査とは
簡易専用水道は、建築物などの給水において水道事業者から供給される水を一旦受水槽に貯め、そこから給水する施設の内、受水槽の有効容量が10立方メートルを超えるものを指します。簡易専用水道の設置者には、安全で衛生的な水の使用、ならびに利用者に供給するために、施設の適切な管理を行う事が義務付けられています。
この簡易専用水道検査は、厚生労働大臣の登録を受けた検査機関によって実施され、法令に基づいた基準に従って行われます。
簡易専用水道検査の対象範囲
下記のような施設の受水槽や建物の屋上に設置されている高置水槽で、有効容量が10立方メートルを超えるものを簡易専用水道といいます。
- マンションなどの集合住宅
- 商業施設やオフィスビル
- 学校や病院などの公共施設
- 工場や工業用施設(飲料水として利用しない場合は該当しません)
必須な衛生管理
簡易専用水道検査を適切に実施するためには、法令に基づいた衛生管理が欠かせません。
ここでは、厚生労働大臣の登録を受けた検査機関による検査の受検や、水道法施行規則第55条に基づく衛生的な管理について詳しく説明します。
厚生労働大臣の登録を受けた検査機関による検査(法定検査)
水道の衛生状態を維持するためには、厚生労働大臣に登録された検査機関による定期的な検査が求められます。(毎年1回以上)
検査機関は、水質や設備の状態を専門的に評価し、法令に準拠した水道運営が行われているかを確認します。検査結果に基づき、必要な改善措置を講じることが義務付けられており、適切な衛生管理が徹底されることになります。
主な検査の内容
- 受水槽等の外観・内部の検査
受水槽の外観・内部・通気管等の防虫網・マンホール密閉確認や、その周辺の管理状況について検査します - 水質検査
給水栓における水の臭気、味、色、色度、濁度及び残留塩素を検査します - 書類検査
給水設備関連の図面や、貯水槽清掃の報告書、その他日常の点検等の記録を検査します
保健所への報告
簡易専用水道検査の実施後は、保健所への報告が必要です。適切に報告を行うことで、法令遵守を確実にし、安心して専用水道を利用することが可能になります。
検査を怠ると、法的な罰則が科されることがあるため、必ず年1回以上の定期的な検査を行うことが重要です。
衛生的な管理(水道法施行規則第 55 条)
水道法施行規則第55条では、専用水道の衛生的な管理に関する具体的な基準が定められています。以下に主要な管理項目を紹介します。
貯水槽の清掃
貯水槽は定期的に清掃を行う必要があります。清掃の頻度や方法は、水質の維持に直結するため非常に重要です。具体的には、水道法では簡易専用水道検査が必須となる有効容量10㎥を超える受水槽は「簡易専用水道」と定義され、年に1回以上の清掃と登録検査機関による水質検査が義務付けられてます。その他、有効容量が8立方メートルを超える小規模受水槽水道及び、すべての地下式受水槽の設置者にも年1回以上の管理状況検査の受検が義務付けられています。また有効容量が8立方メートル以下の水槽においても、小規模受水槽水道と同等の清掃や点検などの検査については努力義務となっています。
これら受水槽の清掃後には水質検査を行い、その水質が基準値を満たしていることを確認します。
アムコンでは、水質検査を自社で行えるため、貯水槽清掃後の水質検査についても併せてご相談いただけます。
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その他施設の点検
水道施設全体の点検も欠かせません。定期的な点検により、漏水や設備の劣化を早期に発見し、迅速に修繕することが可能になります。
点検項目には、配管や受水槽等の状態確認、定水位弁等の動作確認、ポンプの外観や動作の確認などが含まれます。
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水質検査の実施
水質の維持管理は、利用者の健康と安全を守るために欠かせません。
水質検査の項目は以下の内容でチェックすると良いです。
- 水の状態を毎日確認
- 残留塩素を週1回測定
- 水道法水質基準についての水質検査
水の状態を確認
透明のコップを使って、蛇口から水道水を汲みます。
目視で水の色と濁りを確認します。また、においや味についてもチェックします。
残留塩素の測定
測定器を使って残留塩素の計測をします。残留塩素が検出されていない場合と前回計測した数値よりも大幅に低下した場合は水質に問題があります。
水質検査
年1回は水質検査を行いましょう。水質検査の検査項目は以下のものです。
- 一般殺菌
- 総大腸菌群
- pH値
不適事項について
簡易専用水道検査における不適事項とは、法令や基準に適合しない状態を指します。不適事項が検出されると、適切な措置を講じる必要があります。
不適事項の主な内容
簡易専用水道検査でよく見られる不適事項の具体例を示します。
不適事項 | 説明 |
水質基準違反 | 水道法で定められた基準値を超える有害物質の濃度が検出された場合。 |
貯水槽の汚染 | 貯水槽内部の汚れや藻類の繁殖が確認された場合。 |
設備の老朽化 | 老朽化した設備が原因で水漏れや供給障害が発生している場合。 |
衛生管理の不備 | 定期的な清掃や消毒が行われていない場合。 |
報告書の不備 | 必要な報告書や記録が適切に保管・提出されていない場合。 |
よくある質問
簡易専用水道検査についてよくある質問を以下にまとめました。
Q: 水質検査は行っているが、登録検査機関の検査を受ける必要はあるか?
A: 必要です。水質検査を自主管理していても、法令に基づき厚生労働大臣に登録された検査機関による検査を受けることが必須です。これにより、検査結果の公正性と信頼性が確保され、利用者に対して安全な水の供給が保証されます。
Q: 検査実施時に断水等はありますか?
A: 簡易専用水道検査実施において、断水を伴う検査はありません。
Q: 検査を怠った場合に罰則はありますか?
A: 検査を怠った場合は100万円以下の罰金が適用される場合があります。(水道法第54条第8号)
まとめ
今回の記事では、簡易専用水道検査について紹介しました。
簡易専用水道検査は、施設の衛生管理を維持し、安全な水の供給を確保するために不可欠です。
厚生労働大臣登録の検査機関による定期的な検査や、貯水槽の清掃、設備の点検などの必須事項をしっかりと行うことで、法令違反による罰則を避け、利用者に安心・安全な水を供給できます。また、適切な管理を行うことで、水質の維持や施設の長寿命化にも繋がります。 今回の記事を参考にアムコンの簡易専用水道検査をご検討ください。