お役立ち情報
【水質検査のやり方】検査する水の種類と対応する検査項目、注意点を分かりやすく解説
水質分析/各種環境分析

【水質検査のやり方】検査する水の種類と対応する検査項目、注意点を分かりやすく解説

2025.02.21

  • プール水水質検査
  • 冷却水水質検査
  • 公衆浴場水質検査
  • 井戸水水質検査
  • 飲料水水質検査
  • 給湯水水質検査
  • レジオネラ属菌検査

「水質検査する水はいろいろな種類があって分かりづらい」と思われる方も多いのではないでしょうか。本記事では、検査する水の種類と対応する検査項目を詳しく解説します。自社や個人で行う場合と、水質検査を専門に行う法定登録検査機関に依頼しなければならない事業者もあります。
記事を読むと、水質検査のやり方と注意点が分かるようになるでしょう。

水質検査とは何か

水質検査とは、水の色やにおい、有害な化学物質や細菌の有無などが法定水質基準などに該当しているかを判定する測定方法です。

定期的な水質検査のメリットは、給水設備の不具合などを早期発見できることです。配管の劣化や水質の変化をいち早く把握することで、深刻な設備トラブルなどを未然に防止できる可能性が高まります。 水質検査が必要な施設は多岐にわたります。

  • ビル・マンション
  • 学校・幼稚園・保育園など
  • 商業施設
  • ホテル・旅館
  • 病院・研究機関
  • 福祉施設
  • 浴場
  • 工場
  • プール・スポーツクラブ

法令で定められた基準を満たすことは、施設管理者の重要な責務の一つとなっています。 水は生活や事業活動に欠かせない存在であるため、定期的に水質検査を実施すれば、安全な環境を維持し利用者に安心を提供できるでしょう。

水質検査が必要な主な水4種類

ここでは、検査が必要な水の種類について、代表的な4つをご紹介します。これらは、法令や基準に基づいて適切な検査項目と頻度が定められています。

  • ①水道法に基づいた水道水の水質検査
  • ②飲用井戸水の水質検査
  • ③冷却水・浴槽水・プール水の水質検査
  • ④雑用水の水質検査

水の使用目的や安全基準が異なるため、それぞれに適した検査項目があるのです。

以下では、検査項目や実施頻度、具体的な検査手順について詳しく解説していきます。

①水道法に基づいた水道水の水質検査

水道法第4条では、水道によって供給される水についての要件が定められています。水道法に基づく水質検査によって、安全な飲料水を供給するためです。

項目供給される水の要件
病原生物病原生物に汚染または汚染されたことを疑わせる生物や物質を含まない
有毒物質シアン・水銀・ほかの有毒物質を含まない
銅・鉄・フッ素・フェノール・ほかの物質許容量を超えて含まない
pH値異常な酸性・アルカリ性を呈しない
臭味異常でない(消毒での臭味は除く)
外観ほぼ無色透明

上記の要件を満たすため、水道事業者は定期的な水質検査を実施する必要があります。簡易専用水道(有効容量が10m3を超える受水槽)の設置者には、水道法に規定する管理基準によって点検・清掃などのほか、登録検査機関による検査が必要です。

簡易専用水道検査について、詳しくはこちら

ただし、特定建築物に該当する施設については「飲料水貯水槽等維持管理状況報告書」を管轄の保健所に提出すれば、水道法第34条の2第2項に基づく法定検査を受検したものとみなされます。

また、水道法第20条では水道事業者が実施する定期の水質検査の内容が規定されています。

検査の頻度検査項目備考
1日1回以上の検査色・濁り・消毒:残留効果に関する3項目通常と変化がないことを確認する意味での検査
1カ月に1回以上の検査一般細菌・大腸菌・塩化物イオン・TOC(有機物量)・pH・味・臭気・色度・濁度:9項目水質基準の基本的な性状を示す
3カ月に1回以上の検査原則として水質基準の全51項目過去の検査結果や水源の状況などを総合的に勘案し、検査頻度の緩和や検査の省略が可能

参考:デジタル庁「水道法第20条の規定に基づく定期の水質検査」
参考:東大阪市「水質検査回数および検査の省略」
参考:東京都保健医療局「簡易専用水道法定検査よくある質問と回答集」

②飲用井戸水の水質検査

飲用井戸水の水質検査には、水質基準の全51項目のうちから「給水施設内で汚染の進むおそれのある」11項目が、省略不可項目として定められています。

検査項目基準値
一般細菌1mlの検水中100個以下であること
大腸菌検出されないこと
亜硝酸態窒素0.04mg/L以下
硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素10mg/L以下
塩化物イオン200mg/L以下
有機物(全有機炭素(TOC))の量3mg/L以下
pH値5.8以上8.6以下
臭気異常でないこと
異常でないこと
色度5度以下
濁度2度以下

上記の基準値を満たしているかどうかを確認すれば、飲用井戸水を安全に利用できるかの判断が可能です。

井戸水は、周辺からの影響を受けやすくなります。特に浅井戸の場合には、周囲の農薬や工場からの薬品などが地下水に溶けたとき、水質汚染が発生する可能性があります。深井戸の場合では、浅井戸に比較すると汚染の可能性は低いものの、一度汚染されると影響が長引くでしょう。

水質検査を実施する際には、適切な採水方法や保存方法を理解しておく必要があります。毎年1回などルールを決めて、専門機関に水質検査を依頼することが推奨されます。

ご家庭の井戸水水質検査について、詳しくはこちら

参考:厚生労働省「飲用井戸等衛生対策要領の実施について」

③冷却水・浴槽水・プール水の水質検査

以下では、冷却水・浴槽水・プール水の3つの水質検査に分けて見ていきましょう。

冷却水の水質検査

冷却水の水質検査は「冷凍空調機器用水質ガイドライン」によると、8つの基準値項目と7つの参考項目に分かれています。

  • 基準値項目:pH・電気伝導率・塩化物イオン・硫酸イオン・酸消費量(pH4.8)・全硬度・カルシウム硬度・イオン状シリカ
  • 参考項目:鉄・銅・硫化物イオン・アンモニウムイオン・残留塩素・遊離炭酸・安定度指数

また、冷却塔内で冷却する際に発生するエアロゾルによって冷却水中の細菌類が空中に飛散されるので、レジオネラ症防止のための維持管理等も重要です。冷却塔の稼働状況に応じてレジオネラ属菌の水質検査を行いましょう。特に5~9月にかけては、冷却水がレジオネラ属菌増殖の最適温度(36℃前後)に近づくため要注意です。 冷却水の水質検査を実施するには、冷却塔メーカーの保守点検周期を目安に、空調設備の使用ピーク時期を考慮して計画的に行いましょう。

参考:社団法人日本冷凍空調工業会「冷凍空調機器用水質ガイドライン」

冷却塔の管理について~冷却水の水質検査~について、詳しくはこちら

浴槽水の水質検査

浴槽水、というと「お風呂の浴槽水」だけだと思いませんか?実は、それだけではないのです。

検査が必要なお風呂の水の種類には、下記のようなものがあります。

  • 原湯…浴槽の湯を再利用せずに浴槽に直接注入される「温水
  • 原水…原湯の原料に用いる水及び浴槽の水の温度を調整する目的で、浴槽の水を再利用せずに浴槽に直接注入される「
  • 上がり用湯…洗い場及びシャワーに備え付けられた湯栓から供給される「温水
  • 上がり用水…洗い場及びシャワーに備え付けられた水栓から供給される「
  • 浴槽水…浴槽内の「温水
  • 浴槽水…水風呂浴槽内の「

次の施設で浴場があると水質検査が必要です。

  • ホテル
  • 旅館
  • 福祉施設
  • フィットネスクラブ など

水質基準はお風呂の水の種類により異なります。

原湯()や上がり用湯()などの場合

検査項目水質基準
色度5度以下
濁度2度以下
pH値5.8~8.6であること
有機物[全有機炭素(TOC)の量]または 過マンガン酸カリウム消費量3 mg/L以下または10 mg/L以下
大腸菌50mL中に検出されないこと
レジオネラ属菌検出されないこと(10cfu/100mL未満)
※塩素化イソシアヌル酸または、その塩を用いて消毒しているなどの理由により有機物[全有機炭素(TOC)の量]の 測定結果を適用することが不適切と考えられる場合は、過マンガン酸カリウム消費量の測定で、10 mg/L 以下 であることとする

浴槽水の場合

検査項目水質基準
濁度5度以下
有機物[全有機炭素(TOC)の量]または 過マンガン酸カリウム消費量8 mg/L以下または25 mg/L以下
大腸菌群1個/mL以下
レジオネラ属菌検出されないこと(10 cfu/100 mL未満)
※塩素化イソシアヌル酸または、その塩を用いて消毒しているなどの理由により有機物[全有機炭素(TOC)の量]の 測定結果を適用することが不適切と考えられる場合は、過マンガン酸カリウム消費量の測定で、25 mg/L 以下 であることとする

水質検査の頻度は、換水や消毒により異なります。

  • 原湯()や上がり用湯()などの場合…年に1回以上


浴槽水の場合

  • ろ過器を使わず毎日完全に換水している浴槽水:1回以上/年
  • 連日使用している浴槽水:2回以上/年(塩素消毒でないケースは4回以上/年)

参考:厚生労働省「公衆浴場における水質基準等に関する指針」

お風呂の水質検査とは?~公衆浴場の水質検査~について、詳細はこちら

プール水の水質検査

不特定の方が利用するプール水の水質検査では、プールの種類により検査が異なります。

  • 遊泳用プールの衛生基準に基づく検査
  • 学校環境衛生基準に基づく検査
  • 自治体の条例により維持管理が規定された検査

施設管理者は、プール水の細菌類の繁殖防止として塩素系消毒剤を使用します。塩素系消毒剤の使用によって、消毒副生成物のトリハロメタンの発生が懸念されるため、適切に使用しなければなりません。

それぞれの検査に適合するプール水の水質保持には、定期的な水質検査が求められます。

プールの水質検査とは?詳しくはこちら

④雑用水の水質検査

雑用水とは、飲用以外の用途に使われる水のことです。具体的には、清掃、植木の水やり、トイレの洗浄などに使用されます。雑用水は、再生水や雨水、工業用水などを利用しており、飲用には適さないものの、さまざまな用途で活用されています。

雑用水の利用は、限られた水資源を有効に活用するために重要です。例えば、巨大ショッピングモールでは施設内で出た排水を処理して雑用水として再利用することがあります。

雑用水の水質検査は、建築物における衛生的環境の確保に関する法律(ビル管法)に基づいて行われ、以下のような基準が設けられています。

検査項目基準値散水・修景・清掃用水の検査頻度水洗便所用水の検査頻度
pH値5.8以上8.6以下1回/7日以内ごと1回/7日以内ごと
臭気異常でないこと1回/7日以内ごと1回/7日以内ごと
外観ほとんど無色透明1回/7日以内ごと1回/7日以内ごと
大腸菌検出されないこと1回/2カ月以内ごと1回/2カ月以内ごと
濁度2度以下1回/2カ月以内ごと
遊離残留塩素0.1㎎/L以上※注1回/7日以内ごと1回/7日以内ごと
※注:病原生物に著しく汚染されるおそれや、汚染されたことを疑わせる生物もしくは物質を多量に含むおそれがある場合:0.2㎎/L以上

飲用水や浴槽水として利用しない雑用水であっても、誤飲による健康被害の可能性が残るため、雑用水水槽の定期的な点検などで適切に管理しましょう。

参考:厚生労働省「建築物環境衛生管理基準について」

簡易検査キットの選び方【自社/個人で実施】

水質検査のための簡易検査キットには、デジタル試験紙やパックテストなどを用いた検査があります。

自社または個人で簡易検査キットを選ぶ際には、検査対象の水の種類を明確にしましょう。例えば、飲料水、井戸水、プール水など、それぞれに適した検査キットが必要です。

次に測定項目を確認します。残留塩素やpH値、亜硝酸態窒素など、目的に応じた項目が測定できるキットを選びましょう。

簡易検査キットの操作の簡便さは、選定基準の一つです。水質検査業務に携わったことのない方でも扱いやすい製品を選ぶことで、正確な結果を得やすくなります。

試薬の取り扱いや、測定器具の使用方法がシンプルなものがおすすめです。

一方で、結果の精度も考慮しましょう。簡易キットは専門機関による検査ほどの精度は期待できません。日常的なモニタリングとして、役立てましょう。

水質検査を実施すべき事業者一覧表【専門業者に依頼】

水質検査を実施すべき方として、どのような事業者が該当するのでしょうか。

検査が必要な水の種類ごとに一覧表にしましたので、検査実施の際の参考にしてください。

検査が必要な水の種類実施すべき事業者検査対象
水道水・井戸水飲食店・食品加工会社・ビル/マンション管理会社・受水槽の清掃会社など飲用水・調理用水・井戸水・水道水・受水槽など
浴槽水・プール水宿泊施設・公衆浴場・温泉施設・フィットネスクラブ・介護福祉施設・老人ホームなど原湯・原水・上がり用湯・上がり用水・浴槽水(湯・水)・プール水など
冷却水工場、ビル管理会社・排水処理施設管理会社など工程水・原水・冷却塔で使用される循環冷却水・河川放流水など
雑用水工場、ビル管理会社、公共施設など掃除用や散水用、トイレの洗浄水など

詳細な内容は弊社までお問い合わせください。

水質検査を実施する際の注意点

水質検査を実施する際の注意点を次の3つ解説します。

  • ①水質検査を自社で行うケース
  • ②水質検査の実施が法定登録検査機関に限定されているケース
  • ③水質検査結果を5年間保管が必要

以下で詳しく見ていきましょう。

①水質検査を自社/個人で行うケース

採水時の注意点として、清潔な採水容器の使用と適切な採水方法が挙げられます。

水栓を数分間流してから採水することや、採水した容器を密閉することなどです。

採水後には速やかに検査を行い、適切な温度管理のもとで保存する必要があります。

また、簡易検査キットでは測定できる項目が限られており、自社で完結すると水質検査結果報告書は発行できないため、信ぴょう性がありません。 ただし、水質の変化に対しいち早く気づけるため、日常的なモニタリングとして有効です。簡易検査キットで水質基準を超えそうな場合など、必要に応じ専門の法定登録検査機関に依頼しましょう。

②水質検査の実施が法定登録検査機関に限定されているケース

専門の機関に依頼するメリットは、正確かつ信頼性の高い検査結果を得られる点です。

特に、水道法やビル管法などの法令に基づく水質検査が義務付けられているなど、基準を満たすためには法定登録検査機関などに依頼することが求められます。

水質51項目などは、専門の検査機関でなければ対応できません。

また、検査結果を報告書として保管・提出する義務がある場合も多いため、自社で行う簡易検査では対応できないことがあります。 特に多くの利用者がある施設では、信頼できる水質管理のために、法定登録検査機関による定期的な水質検査を実施しましょう。

③水質検査結果は5年間保管が必要

水質検査が義務付けられている施設では、水質検査結果を5年間保管することが法律で定められています。

水道法第20条では、水道事業者が実施した水質検査の記録を作成し、検査日から起算して5年間保存することが義務付けられています。この規定は飲料水の安全性を確保し、公衆衛生を守るためです。

保管義務を怠って保健所や行政機関による監査時に記録が提出できない場合、指導や罰則が科されることがあります。

また、検査結果はトラブル発生時の証拠資料としても活用できるため、適切な保管と管理が必要です。 水質検査結果の保管は、法令遵守とリスク管理の観点から不可欠といえるでしょう。

まとめ:水質検査のやり方は検査する水の種類や用途で異なる

水質検査のやり方は、検査する水の種類や用途で異なります。自社・個人でできる場合と、法定登録検査機関に依頼しなければならない場合があります。

水質検査キットはインターネットを利用して手軽に入手できるものの、法定登録検査機関に水質検査を依頼することが、自社への信頼とリスク回避につながります。 本来の業務に専念するためにも、一般の方に分かりづらい水質検査についての詳細は、お気軽に弊社までお問い合わせください。

水質検査の
ご相談はこちら

関連製品/サービス/検査メニュー