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汚泥脱水機とは?種類と仕組み、導入するメリット
汚泥処理関連装置/水処理用薬品

汚泥脱水機とは?種類と仕組み、導入するメリット

2024.07.23

  • 汚泥処理方法
  • 汚泥脱水機

汚泥脱水機の役割や、脱水方法についてご紹介します。また、汚泥脱水機を導入するメリットをまとめています。今回の記事を参考に汚泥脱水機の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

汚泥脱水機とは

汚泥脱水機は、下水処理場や各種製造工場などで発生する汚泥を脱水し、汚泥の嵩を減らすことで処分費や環境負荷を削減するための機械です。汚泥の脱水によって分離された水は排水処理工程に戻され、処理された後に河川などに放流されるので自然のサイクルに戻すことができます。

汚泥脱水の重要性

生物処理で発生する余剰汚泥は通常99%以上が水のため、そのまま焼却や埋め立て処分を行うのは困難です。汚泥脱水機で脱水後は、汚泥形状がケーキ状になるため、その後の運搬取扱いや処分を容易にすることができます。

汚泥脱水機を使用することで、以下のメリットが得られます。

  • 運搬コスト・処理コストの削減
  • 処理スペースの節約
  • 処理効率の向上
  • 廃棄物の再利用の促進
  • 環境負荷の軽減

主な利用先

汚泥脱水機は様々な場所で利用されています。

  • 下水処理場
  • 産業廃棄物処理場
  • リサイクル工場
  • 食品・飲料製造工場
  • 畜産業・食肉加工工場
  • 機械製造工場
  • 化学品製造工場
  • 製薬工場 ・製紙工場
  • 服飾・繊維工場
  • 商業施設、商業ビル など

汚泥脱水機の仕組み

汚泥脱水機の脱水方法は主に「機械的圧縮による脱水」「遠心力を利用した脱水」「自然乾燥」の3つです。各脱水方法の特徴をご紹介します。

機械的圧縮による脱水

機械的圧縮による脱水とは、圧力をかけることで汚泥から水分を排出する方法です。

  1. 圧縮機を使用して高圧をかけ、水分を強制的に排出する
  2. ろ過素材を介して圧力を加え、固液分離を行う

機械的圧縮による脱水は高い固形物含有率を持つ脱水ケーキが生成されます。
処理後の汚泥は、含水率が85%以下となり、搬出や処分が容易になります。

①多重板型スクリュープレス(汚泥脱水機ヴァルートデュオ、ヴァルート™)
2種類のリングが積層したろ体と、その内部をスクリューが貫いた構造となっており、スクリューによる加圧脱水で固液分離を行います。

②スクリュープレス脱水機
パンチングメタルやウェッジワイヤーなどのろ体と、その内部をスクリューが貫いた構造となっており、スクリューによる加圧脱水で固液分離を行います。

③ベルトプレス脱水機
2枚のろ布がローラーの間に挟まれる構造です。汚泥をろ布に挟み込み、ローラー及びベルトで圧搾力を加え固液分離を行い脱水します。

④フィルタープレス脱水機
複数のろ室に汚泥を圧入し、圧搾脱水を行います。

⑤多重円盤型脱水機
円板を積層したろ体を上下2段に構成し、ろ体をゆっくり回転させることにより、個体と液体との間に差圧を生じ、個体自身が水分を吐出します。

それぞれ特徴がありますが、汚泥脱水機ヴァルートデュオ™、ヴァルート™は、目詰まり防止のために大量の洗浄水を使用することがなく、含油汚泥にも強い脱水機です。日常のメンテナンス項目も少なく、難しい操作も必要ありません。

汚泥脱水機ヴァルートデュオ™、ヴァルート™について、詳しくはこちら→

遠心力を利用した脱水

遠心力を利用した脱水とは、回転する装置内で汚泥を高速で回転させ、遠心力により水分を排出する方法です。

  1. 脱水機内で汚泥を高速回転させる
  2. 遠心力により水分が外側に分離され排出される
  3. 固形物は中央部に留まり、効率的に脱水される

遠心力を利用した脱水は処理速度が速いというメリットがあります。たとえば、遠心分離式脱水機では、1時間に数トンの汚泥を処理できることが一般的です。汚泥が急速に分離されるため、大規模な工場や都市部の下水処理場において特に有効です。その分、騒音・振動など2次的問題の発生や、消費電力が大きいなどのデメリットがあります。

仕組みの比較

各脱水方法にはそれぞれのメリットとデメリットがあります。

以下にわかりやすく表でまとめています。

脱水方法メリットデメリット
多重板型スクリュープレス
(汚泥脱水機ヴァルートデュオ™)
ロングライフ設計で交換部品コストを大幅に削減無機汚泥、多繊維汚泥など幅広い汚泥に対応
含油汚泥でも目詰まりしない機構
スクリュープレス脱水機構造がシンプルで、構成機器が少ないパンチングメタルが目詰まりし易い
高圧洗浄水が必要
ベルトプレス脱水機分離機構が簡単で脱水状況の確認が簡単多量の高圧洗浄水が必要
含油汚泥は脱水不可
ろ布の交換が必要
フィルタープレス脱水機低含水率
大規模処理にも対応
汚泥性状の変化により処理能力が大きく左右される
バッチ処理のため処理効率が悪い
多重円盤型脱水機洗浄水量が少ない
含油汚泥も脱水可能
低含水率ケーキが得にくい
無機系汚泥には利用できない
遠心脱水機対応汚泥種の幅が広いエネルギー消費が高い、運用コストが高い

脱水ケーキとは

脱水ケーキとは、産業廃棄物である汚泥を脱水処理したものです。汚泥は結果的に焼却処分されますが、燃焼前に必ず脱水ケーキの状態にすることが必須です。

汚泥脱水機を導入するメリット

汚泥脱水機を導入するメリットについてご紹介します。

コスト削減と効率性の向上

汚泥脱水機を導入する一番のメリットがコストを抑えることです。そのなかで主に「処理コストの削減」「人件費の削減」「メンテンナンスコストの削減」の3つです。

  • 処理コストの削減
    汚泥脱水機を導入することで処理する汚泥の嵩を大幅に減少させるため、運搬および廃棄コストが削減されます。
  • 人件費の削減
    汚泥脱水機を導入することで今まで手作業で行っていた業務を自動化することができます。よって手作業の介入が減り、人件費の削減ができます。また、汚泥脱水機ヴァルートデュオ™、ヴァルート™では24時間連続運転が可能で、人手不足の対策にもなります。
  • メンテナンスコストの低減
    汚泥脱水機を導入し定期的なメンテナンスを行うことで、機械の寿命を延ばし、突発的な修理費用を抑えます。さらに汚泥脱水機ヴァルートデュオ™では、消耗部品同士の接触を防ぐ構造で消耗部品寿命が飛躍的に伸び、交換部品コストを大幅に低減することができます。

環境負荷の軽減

脱水された汚泥は含水率が低く、汚泥脱水機を導入することで環境負荷も軽減します。

  • 廃棄物の減量化
    含水率を下げることで、廃棄物の総量が少なくなり、処分場の容量を節約できます。
  • 温室効果ガスの削減
    処理過程で発生するエネルギー消費を削減することで、二酸化炭素の排出量が減少します。
  • 悪臭の低減
    含水率が低くなることで、腐敗が抑制され、悪臭の発生が減少します。

まとめ

今回の記事では、「汚泥脱水機」についてご紹介しました。
汚泥脱水機は、下水処理場や各種製造工場で発生する汚泥を脱水し、汚泥の嵩を減らすことで処分費や環境負荷を削減するための機械です。
汚泥脱水機を導入することで、環境保全とコスト削減に重要な役割を果たします。脱水機の種類や仕組みを理解し、適切な機械を選ぶことで、効率的な脱水が可能となります。
今回の記事を参考に汚泥脱水機の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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